医療や介護の希望を明確にしておくことは、終活を進める中で避けて通れない重要なテーマです。
私たちは誰しも、人生の最期に近づく時期に「自分らしい選択」をしたいと考えるものです。
しかし、それを具体的に決め、家族や関係者に伝えるのは簡単ではありません。
実際、多くの人が下記のような悩みを抱えています。
- どこまで治療を受けるべきか自分でもわからない
- 家族に迷惑をかけたくないけど、どう伝えたらいいかわからない
- 施設や介護サービスの種類が多すぎて選べない
これらの迷いや不安を抱えたまま放置してしまうと、自分自身の希望が実現されないばかりか、家族や周囲の人々に大きな負担をかけることになりかねません。
治療方針を巡って家族間で意見が対立したり・・・
介護施設の選択が遅れて必要なケアが受けられなかったり
- 終活における医療と介護の希望を明確にするために知っておくべきポイント
- 希望を曖昧なままにした場合に起こり得るリスクと解決策
- 具体的にどのような事項を事前に考え、決めておくべきかについても詳しく説明
希望を明確にすることで、不安を軽減し、より前向きに人生を過ごせるようになるはずです。
それでは、具体的な内容を見ていきましょう。
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【医療と介護】希望を明確にする重要性
多くの人が終活を進める中で漠然とした不安を感じている一方で、具体的に何を考え、どのように準備すればよいかわからないという声もよく耳にします。
特に医療や介護の場面では、本人の意思が明確でない場合、家族や医療従事者が迷いや対立を抱えることが少なくありません。
これから、自分の意思を明確にすることがどのように役立つのか、そしてそれが家族や周囲にどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。
希望を決めておくことの重要性を知り、安心して未来を迎える準備を始める第一歩として参考にしてください。
自分の意思を尊重する
- 意識がなくなったとき、自分の希望に沿った治療や介護を受けられる
- 尊厳を守るために、どのような医療やケアを受けたいかを明確にしておく
家族の負担を軽減する
- 家族が判断を迫られる場面で、希望を伝えておくことで迷いや負担を軽減
- 心理的な負担を減らし、トラブルを防ぐ
法的トラブルを防ぐ
- 医療や介護の希望を文書化しておくことで、意見の相違やトラブルを回避
- 成年後見制度など法的な手続きが必要になる場合に備える
社会的負担を減らす
- 介護や医療の計画が明確でないと、周囲の支援者や行政サービスにも負担がかかる
- 計画的な終活は全体の負担軽減につながる
予算やサービスの選択に影響する
- 医療や介護にはコストがかかるため、希望に沿った計画が必要
医療と介護:希望を明確にするメリット
メリット | 内容 |
---|---|
自分の意思を尊重できる | 意識がなくなったときにも、自分の希望に沿った医療や介護を受けられる |
家族の負担を軽減できる | 判断に迷う家族の心理的負担を減らし、トラブルを回避できる |
不要な治療を避けられる | 延命治療など本人の意に反する医療行為を防ぐことができる |
適切な介護サービスを受けられる | 必要な介護サービスや施設利用の選択を事前に考えておける |
経済的な負担を計画できる | 医療や介護にかかるコストを見積もり、無理のない範囲で準備ができる |
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希望を曖昧なままにした場合のリスク
特に、緊急時や判断が難しい状況では、周囲の人々が本人の本当の希望を汲み取れず、意に反する決定がなされる可能性もあります。
それが結果的に家族間の対立や経済的負担につながることも少なくありません。
医療・介護の希望を曖昧にしてしまった場合のリスクをみてみましょう
家族間でのトラブル
- 意思がわからないことで家族の意見が分かれ、争いが生じる可能性
不要な延命治療
- 本人の望まない延命治療が行われるリスク
- 経済的負担や精神的なストレスを伴う
介護サービスが適切に受けられない
- 適切なサービスを受ける機会を逃す可能性
緊急時の対応が遅れる
- 緊急事態で、どのように対応すべきか決まっていないと混乱が生じる
財産や権利の管理が困難になる
- 成年後見人などの制度を整備していない場合、財産管理に問題が発生する
医療と介護:希望が曖昧な具体例
リスク | 具体例 |
---|---|
家族間の意見の対立が生じる | 希望が不明確なために家族内で判断が分かれ、トラブルが発生 |
本人の望まない延命治療が行われる | 人工呼吸器や心肺蘇生・胃ろうなど、不要な治療で本人や家族に精神的・経済的な負担が増える |
適切な介護サービスを受けられない | 要介護認定や介護サービスの利用が遅れ、必要な支援が得られない |
緊急時の対応が遅れる | 緊急事態に備えた連絡先や対応方針がないため、混乱が生じる |
財産管理が複雑化する | 成年後見制度などを準備していない場合、財産や権利の管理が困難になる |
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【医療】具体的な希望の決め方
自分がどのような治療を望むのか、あるいは望まないのかを明確にすることで、いざという時に自分の意思が尊重される可能性が高まります。
また、家族や医療従事者が迷うことなく対応できるため、精神的な負担を軽減することにもつながります。
ここでは、延命治療や緩和ケアなど、医療に関する具体的な希望の決め方を解説します。
延命治療の有無を明確にする
- 人工呼吸器、心肺蘇生、輸血の可否などを具体的に決める。
痛みの緩和に関する希望
- ホスピスケアや緩和ケアの利用について考える
かかりつけ医と話し合う
- 医師と相談し、自分の健康状態に応じた選択肢を把握する
臓器提供の意思
- 臓器提供の意志や希望について明確にしておく
リビングウィルを作成する
- 終末期医療の希望を文書化しておく
リビングウィルとは?
リビングウイルとは、「あなたが重い病気にかかり、自分の意思を伝えられなくなったときに、どうしてほしいのか」を、あなたに代わって、家族やあなたの親しい人々、医療を行う私たちに伝えるための手紙です。
引用元:北里大学北里研究所病院ホームページより
医療:具体的な決め方
項目 | 選択肢・例 | 内容 |
---|---|---|
延命治療の有無 | ① 希望する ② 希望しない | 人工呼吸器や心肺蘇生など、どの範囲まで延命治療を行うかを明確にしておく |
痛みの緩和 | ① 積極的に行う ② 最低限の処置のみ | 終末期医療での緩和ケアやホスピスの利用を検討 |
臓器提供の意思 | ① 提供する ② 提供しない | 臓器提供について希望する場合、意思表示カードや登録を行う |
医師への意思表示方法 | ① 口頭で伝える ② 文書に残す | リビングウィルなど文書に残しておくことで、意思が確実に伝わる |
特定の治療の有無 | ① 化学療法希望 ② 手術の制限 ③ 一切の治療拒否など | 自分の価値観に基づいて治療方針を具体的に伝える |
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【介護】関する具体的な希望の決め方
介護の場所やサービスの種類、誰にどのような形で介護をお願いするのかを具体的に考えておくことで、いざという時にスムーズに支援を受けることができます。
特に介護は医療以上に選択肢が多岐にわたるため、計画を立てることが重要です。
ここでは、介護に関する希望を具体的に決める際のポイントについて説明します。
どこで介護を受けたいか決める
- 自宅、施設、在宅介護サービスなどの選択肢を検討する
誰に介護をお願いするか
- 家族、ヘルパー、地域の支援サービスなどを具体的に考える
財源や保険について整理する
- 介護費用の見通しや、利用できる保険・制度を確認する
要介護認定の申請を考える
- 必要に応じて早めに申請することで、適切なサービスを受けられる
緊急時の対応を決める
- 緊急連絡先や支援者の情報を整理しておく
介護:具体的な決め方
項目 | 選択肢・例 | 内容 |
---|---|---|
介護の場所 | ① 自宅 ② 施設 ③ その他 | 住み慣れた環境での介護を望むか、専門的な施設でのケアを受けるかを選択 |
介護者の希望 | ① 家族 ② プロの介護士 ③ 地域の支援サービス | 誰に介護を依頼するかを明確にし、負担を分散させる |
介護サービスの利用 | ① デイサービス ② ショートステイ ③ 訪問介護 | サービスの種類と必要性を検討しておく |
財源や保険の確認 | ① 公的介護保険 ② 民間保険の利用 ③ 貯蓄 | 介護費用の負担を見積もり、利用できる資金源を整理 |
緊急時の対応 | ① 連絡先リスト作成 ② 対応マニュアルの整備 | 緊急連絡先や具体的な対応をあらかじめ記載しておく |
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【医療と介護】希望を共有・実現するための方法
自分の意思を家族や医療従事者と共有することで、希望に沿ったケアを受けられる可能性が高まります。
また、法的な手続きや文書化を通じて、希望が適切に実現されるよう準備することも重要です。
ここでは、希望を周囲に伝え、具体的に行動に移すための解決策を詳しくご紹介します。
家族との話し合いを始める
- 定期的に家族と希望を共有し、意見を調整する
エンディングノートを活用する
- 医療・介護に関する項目を記入し、随時更新する。
専門家に相談する
- 終活カウンセラー、弁護士、医師など専門家の助言を活用する
法的な文書を整備する
- 尊厳死宣言書や成年後見制度などを利用し、希望を法的に保護する
地域の終活イベントに参加する
- 地域のセミナーや相談会を活用して情報収集する
解決策のポイント
方法 | 具体例 | ポイント |
---|---|---|
家族との話し合いを始める | 家族会議を開き、定期的に希望を確認 | お互いの意見を尊重しながら、全員が納得する計画を立てる |
エンディングノートの活用 | 医療・介護に関する項目を記入し、随時更新 | 簡単に書き直せる形式で、継続的な更新を促進 |
専門家への相談 | 終活カウンセラーや医療関係者、弁護士と相談 | プロのアドバイスで計画の漏れを防ぎ、法的な安心感を得る |
文書化と法的整備 | リビングウィルや成年後見人制度を利用 | 文書化により家族や医療機関が確実に希望を把握できるようにする |
地域の支援を活用 | 地域で開催される終活イベントや相談会に参加 | 自分だけでは解決できない疑問点を解消し、情報交換ができる |
成年後見人制度とは?
成年後見人制度とは、知的障害・精神障害・認知症などによってひとりで決めることが心配な人の思いを地域みんなで分かち合い、いろいろな契約や手続をする際にお手伝いする制度です。
引用元:厚生労働省 成年後見はやわかりより
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まとめ:もしもの時がやってくる前に・・
医療や介護の希望を明確にすることは、自分自身の尊厳を守るだけでなく、家族や周囲の人々の負担を軽減するために欠かせません。
- 今すぐ始められること
- 家族や信頼できる人と率直に話し合い、現状の希望を共有する
- エンディングノートを購入し、医療・介護に関する希望を書き始める
- 地域で開催されている終活セミナーや相談会に参加して情報を収集する
- 明確にしておくべきポイント
- 医療では「延命治療の有無」や「痛みの緩和方法」について具体的に決める
- 介護では「受けたい介護サービスの種類」や「介護をお願いする人」を考える
- 財源や利用できる保険、制度の確認も忘れずに行う
- 希望を形にする方法
- リビングウィルや成年後見制度を活用して法的に希望を整備する
- 必要に応じて終活カウンセラーや医療従事者に相談し、専門的なアドバイスを受ける
- 緊急連絡先リストや対応方針を記載した簡易マニュアルを作成しておく
- 希望を随時更新する重要性
- 医療や介護の状況や考え方は時間とともに変わる可能性がある
- エンディングノートやリビングウィルの内容を定期的に見直し、必要に応じて家族や専門家と再確認することが重要
- 大切なこと
- 終活の計画は、あくまで「自分らしい人生を実現するための手段」
- 完璧な計画を一度に作り上げる必要はない
- できることから始め、少しずつ進めていくことで、自分も家族も安心して未来を迎える準備が整う
「自分らしい終活」を実現するために、ぜひこの記事を参考にしてください。
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どのタイミングで希望を決めればよいのでしょうか?
医療や介護の希望は、元気なうちに早めに考え始めるのが理想です。
病気や介護が必要になってからでは、精神的にも体力的にも負担が大きく、冷静な判断が難しくなることがあります。
一度決めた希望も、状況や考え方が変われば見直すことができますので、まずは気軽に始めてみることをおすすめします。
具体的にどんなことを希望として書いておけばよいですか?
医療と介護の希望は、以下のような具体的な内容を書いておくとよいでしょう。
医療について
- 延命治療の希望(人工呼吸器や心肺蘇生の有無など)
- 痛みの緩和ケアの希望(ホスピス利用や麻酔の使用など)
- 臓器提供の意思
介護について
- 介護の場所(自宅、施設、訪問介護の利用など)
- 誰に介護をお願いしたいか(家族、専門スタッフなど)
- 介護費用の準備や利用する保険
希望を細かく書き出すことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
医療・介護の希望を文書に残しても、それが実現されないことはありますか?
残念ながら、文書に残しても状況によっては希望が実現されない場合があります。
たとえば、緊急時に医療スタッフが意思を確認できない場合や、法的な拘束力が不十分なリビングウィルしかない場合です。
このようなリスクを減らすには、以下の方法が有効です。
- 医療関係者や信頼できる家族と事前に話し合っておく
- 法的拘束力のある文書(例:尊厳死宣言書)を作成する
- 定期的に希望を見直し、家族と共有する
希望を伝えるだけでなく、共有し続けることが大切です。
延命治療をしたくないとき、どうすればいい?
延命治療を希望しない場合は、リビングウィルという文書を作成するのがおすすめです。
この文書に「人工呼吸器はつけたくない」などの希望を書き、家族やかかりつけ医に見せておくと意思が伝わりやすくなります。
何も伝えないと希望に反した治療をされることもあるので、しっかり準備しておきましょう。
介護を家族にお願いするのが心配。どうしたらいい?
家族に負担をかけたくないときは、デイサービスや訪問介護などのプロの支援を利用するのがおすすめです。
また、ショートステイを活用して家族が休める時間を作ることも大切です。
介護保険を利用すると、費用も抑えられます。
家族と一緒に相談して、無理のない計画を立てましょう。
緊急時に備えるには何をしておけばいい?
緊急時に備えるには、以下のことを準備しておくと安心です。
これだけでも緊急時の対応がスムーズになります。
- 緊急連絡先リストを作る(家族や医師の連絡先など)
- 必要な薬や医療機器を一箇所にまとめる
- 医療や介護の希望を書いたノートをわかりやすい場所に保管する
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